では、みなさん頭の中で想像してみてください。今、みなさんの目の前には色違いのカップが4つ、横に並んでいます。違うのは色だけで、材質や大きさ、形などはみんな同じです。仮に左から順番にAのカップ、Bのカップ、Cのカップ、Dのカップと呼ぶとしましょう。左側がA、右側がDですよ。では、AからDのカップのうち、最も価値が高いのはどれでしょうか?
「お前は何を言っているんだ」と思われるかもしれませんね。さきほど、私は違うのは色だけで、ほかはすべて同じと言いました。であれば、カップの価値は同じはずです。
たしかに、カップの価値は同じなのですが、実は人間の認識では少し違います。今は頭の中でやっていただいたので分からないと思いますが、実はこれ、目の前にしてみると、右側にあるDのカップが良さそう…という方が多くなるというデータが出ています。
これを右側重要バイアスと言います。実は、右利き、左利きに関わらず、人間は右側にあるもののほうが重要そうに見えるという特性を持っているのだそうです。
実際にカップではなく、ストッキングで実験をした例があります。このときの結果、どれが良いストッキングだと思いますか?という問いに対し、結果は右側からD→C→B→Aの順に高くなり、なんとDとAの評価は4倍もの差がついたそうです。実は、人間の認識というものは、意外と適当なものなんです。
このように、人間がどうやって物事を判断しているかを知ると、私たちが行うべき対応も少しずつ見えてきますよね。より確率の高い判断を予測したり、確率が高い選択肢に誘導したりできるわけですから、こうした知識を有効に活用しないのは大変もったいないと思います。