人間とチンパンジーは、どちらか自制心のある動物でしょうか。実は、2007年に人間とチンパンジーを対象にした興味深い実験が行われました。それは、「今すぐおやつを2つもらうか、2分待って6個のおやつをもらうか」というものです。当然、もらえるもののことを考えると2分待って多くのおやつをもらった方がお得ですよね。さて、実験結果はどうなったのでしょうか。
チンパンジーはたくさんのおやつをもらおうと72%が待ちました。一方、人間はというと…なんと、19%しか待てなかったのです。
基本的に、人間は物や成果をすぐに手に入れないと気が済まないという傾向があります。つまり、すぐに手に入る一瞬の満足のために、自分が本当に望むものを自ら放棄したり、やりたくないことをすべて明日へと延ばしたりしてしまうのです。これを経済学用語で「遅延による価値割引」と言います。簡単に言えば「長く待つことは価値を下げる」「人間は待つのが大嫌い」ということです。
私たちは、仕事柄、どうしてもお客様を待たせてしまうことがあります。でも、それにより怒りの感情を表す方がいるのもまた事実です。そのようなときのために、待たせないための工夫や。待たせてしまったときの声の掛け方というものが大切になってきます。
たとえば、待たせてしまっているときの「少々お待ちください」は危険です。これは結局「待て」という命令を丁寧に言っただけに過ぎません。もし、待たせてしまうようなら「ただいまお伺いします」などのように、従業員側の行動を言い表すことでクレームを回避することができます。
このように、あらかじめ人の特性を理解し、対策をしておくことで満足度の高いサービスを提供したり、お客様に与える不満を最小限に抑えることができるようになります。どのようなお客様に対してもプロとしての仕事が提供できるように知識や対応術をしっかりと身につけていきましょう。