冒頭で質問を投げかける
スピーチの冒頭で上手な質問を投げかけると、聞き手はその質問の答えを考えようと思考を開始します。この思考を開始した時点で「つかみ」は完了です。
何でわざわざクイズにするの?
中には、「わざわざクイズにせずとも、伝えたい情報を伝えれば良い」という方もいらっしゃいます。確かに、情報を伝えるだけが目的であれば、それで良いでしょう。でも、せっかく伝えた情報も使ってもらえなければ意味がありません。
人を動かすのには、それ相応のエネルギーが必要です。だからこそ、メッセージ性の強いスピーチを行うことが大切です。そして、そのメッセージ性を高めるための手法の1つがクイズになります。
単に情報を与えるだけでは「ふ~ん」で終わってしまいます。でも、あえてクイズにし、「早く答えを教えてほしい」という心理状態を作ってから情報を提供することで、その情報に大きな重要感を付加することができるのです。
つかみになる質問・ならない質問
クローズ型の質問は「つかみ」にならない
ただし、何でもかんでも質問を投げかければ良いというものではありません。たとえば、「あなたは、○○を知っていますか?」とか「○○を使ったことがありますか?」など、Yes/Noで応えられる質問は無意味です。
質問を投げかける目的は、あくまでも聞き手に思考させることです。でも、「○○を知っていますか?」などの質問は、思考を巡らせることなく、Yes/Noで回答ができるため、つかみになりません。このように、Yes/Noで回答できる質問のことをクローズ型の質問と言います。
オープン型の質問で聞き手の心をつかもう
「どんな方法だと思いますか?」「いくつくらいだと思いますか?」など、5W3Hの質問をすると、聞き手は具体的な思考を始めます。これこそ、聞き手の心をつかんだ状態と言えます。
質問例
- デパートのエレベーターなどには、お客様を待たせてもイライラさせないための仕掛けが施されています。さて、それは何でしょうか?
- 万引き被害に悩んでいた書店があります。防犯カメラなどを設置してもまったく効果が出なかったのですが、コスト0で万引き被害を30%減らした方法があります。さて、どのような方法でしょうか。
- みなさんは「豆ダッシュ」という商品をご存知ですか?実は、このあと改名をしたことで爆発的ヒットをした商品なのですが、一体、何の商品だと思いますか?
- 3日前に食べた夕飯は何ですか?
二択問題や○×クイズも有効
Yes/Noで回答できるクローズ型の質問は好ましくありませんが、二択問題や三択問題、○×クイズの場合は有効な質問になる場合があります。このときは、すぐに答えが分かるものではなく、回答に悩むものや、意外な答えが返ってくる問題ほど良いつかみとなります。
質問例
- 自動販売機に並んだ商品を見るとき、人は上から見ると思いますか?それとも下からでしょうか。
- 最近は、網戸を正しく使えていない方が多いです。では問題です。網戸は窓の右側に配置するものでしょうか。それとも左側に配置するものでしょうか。
- 世の中に、蛍は2000種類くらいいると言われています。では、そのうち光る蛍は何種類くらいいるでしょうか。A.15種類、B.150種類、C.1500種類
- サイコロの1が赤いのは日本が発祥である。○か×か。
質問の後は、学びになる答え(エピソード)を伝える
一分間スピーチのメインは「質問」ではありません。一分間スピーチにおいて重要なのは、その質問の回答が得られる学びや教訓などの情報です。クイズを出したら、必ず具体的なエピソードを添えつつ、明快な回答を示すようにしてください。
たとえば、人は、自動販売機に並んだ商品を見るとき、下から上に向かって見る傾向があります。そのため、各メーカーとも主力商品を自動販売機の下に配置していることが多いです。以前は、資料などと同じく左上から右下に向かってみると考えられていたので、主力商品が上に並んでいた時期もありました。
この内容であれば、脳科学や心理学が、広告やパッケージ、商品レイアウトなどに役立つというお話に繋げることができると思います。
朝礼ネタのプレゼント
Question(質問)と、探求(Quest)の語源は同じです。質問を使って相手の情報を引き出し、相手を理解することは、まさしくQuestだと思います。これを使って、ひとネタ作れそうですね。