まずは両手を前に出してください。左右どちらでも構わないので片方をグー、片方をパーにしましょう。今から、これをグーパー、グーパーと交互に入れ替えていきます。さて、ここからが本番です。このままどんどんスピードを上げていきましょう。これ以上速くできない…というくらいまで速くしてください。すると、いつの間にか両手が同時に開いたり閉じたりしているのに気が付くと思います。
なぜ、両手が同時になってしまうのかというと、それは人が異なることを2つ同時に行うことを苦手としているからです。わかりやすい例としては歩きスマホがあります。スマホを見ながら周りのことも気にする…ということができません。だから誰かにぶつかってしまったり、交通事故を引き起こしそうになってしまうわけです。
面白いのは、人は皆、歩きスマホの危険性を知っているのにやってしまう点です。それはなぜかと言うと、歩きスマホで手痛い失敗をした経験が無いからです。なぜかは分かりませんが、人は根拠のない自信を持っています。たとえば、「私は大丈夫」「俺は周りが見えている」というものです。でも、これは危険ですしリスクを伴っています。
では、どうすれば歩くスマホを止めさせることができるのでしょうか。その方法は、失敗の経験をさせることです。ただ、大きな失敗をさせるのは大変危険なので、小さな失敗のプチ体験をさせることが大切です。たとえば、今、みなさんが行ったグーパーも失敗体験の1つです。この失敗体験とともに、「人は2つのことが同時に行うのが苦手」という根拠を説明すると、その失敗が身に染みて分かるようになります。
これは、商品を説明することも同じです。絶対にやってはいけないことを口頭で伝えても良いのですが、やはり体験させた方が有効です。また、上司や先輩が仕事を教えるときにも同じことが言えます。体験や失敗は心に強く残りますから、一度失敗が刻まれると、再発の可能性を大きく下げることができます。
なので、みなさんも何かを説明するときは、何かを体験してもらうようにしてください。もちろん成功体験もOKです。ただ、それ以上に失敗体験は普段経験できないことですので、可能であれば機会を作ってあげましょう。