冒頭で心をつかむ
一分間スピーチや三分間スピーチの印象は、最初の「つかみ」で9割が決まります。
早速ですが、みなさんに質問があります。人は、どのようなときに話を聞きたくなると思いますか?
それは、続きが気になるときです。
人は、「何でこうなるの?」「どうやって解決したの?」「どのくらいあるの?」などの疑問が湧いてくると、その答えが気になる心理特性を持っています。また、冒頭で衝撃的な事実やデータが告げられると「え?どういうこと?何が起きたの?」と、好奇心が湧いてきます。
この「続きが気になる」という心理状態を言い換えると、聞き手があなたのスピーチに対して期待感を抱いている状態になります。スピーチ中に期待感やワクワク感を抱かせることができれば、聞き手はあなたのスピーチにどんどん引き込まれていきます。
つかみの要素
上述したとおり、つかみは「期待感」を抱かせるための手法です。では、相手の心をつかみ、期待感を持たせるにはどのような演出が求められるのでしょうか。私が主に意識をしているのは、次の3点です。
- 驚かせる
- 謎を与える
- 共感させる
- 体験させる
- 実演する
それぞれのポイントは別途解説していきたいと思います。
つかむだけではダメ!つかみを活かそう
冒頭で驚きや謎を与えて、期待感を与えたら、その期待に応える必要があります。そして何よりも、つかみを本題へと繋げることが重要になってきます。
たとえば、スピーチの冒頭でマジックをする人がいらっしゃいます。たしかにマジックは「すごい!」という驚きや「どうなっているの?」などの謎を提供しますので、つかみとしては非常に有効なツールです。
でも、マジックを見せて驚かせるだけ驚かせておいて、マジックとはまったく関係のないスピーチをするのでは、マジックをした意味がなくなってしまいます。「なぜ、マジックをしたのか。」「そのマジックから得られる学びや教訓は何か」など、すべての言動に意味を持たせてこそのつかみなのです。
スピーチの冒頭で、聞き手の心をしっかりとつかみ、そのつかみを活かした内容を展開すればあなたのメッセージはより印象強く残るようになります。「心をつかんだら終わり」ではありません。むしろ、つかんでからが始まりであり、そこから「何を伝えるか」が最重要事項です。
つかみありきではない
スピーチのメインは、あくまでもメッセージです。つかみは、そのメッセージを印象付けるスパイスでしかありません。伝えたいメッセージが無ければ、「つかみ」ではなく「自己満足」で終わってしまうので注意が必要です。
朝礼ネタのプレゼント
ここまで読んでくれたみなさんにひとつだけ、朝礼ネタのタネをプレゼントします。
朝礼ネタ:続きが気になる心理(ツァイガルニク効果)
尾崎豊という若くして亡くなった著名人が印象深く感じる理由。最後に謎を残し次回に託す漫画・アニメ・ドラマが気になる理由。わざとじれったい接し方をすることで相手の気を惹く恋愛テクニック。
これらはすべて、ひとつの心理学用語で言い表すことができます。それは「ツァイガルニク効果」です。人は、達成できた事柄よりも、達成できなかった事柄や中断している事柄のほうをよく覚えているという心理現象のことを言います。簡単に言えば、「続きが気になって仕方がない」という心理状態です。
この「続きが気になって仕方がない」という状態を作り出すための要素に「驚き」や「謎」があります。たとえば「続きはCMの後」というお馴染みの文句は「この先はどんな展開が待っているのかな?」「クイズの正解は何だろう」という気持ちを作り出すことができます。
また、「このあと、とんでもないことが起こった」というナレーションも同様です。「え?何が起きたの?」という気持ちを増幅させるわけですね。
このように、事実を伝える前に勿体ぶった表現をすると、聞き手の方に「その情報を知りたい!」という姿勢を取らせることができます。同じことを伝えるにしても、相手の姿勢次第で伝わるメッセージ量が大きく違うのは、みなさんもご存知だと思います。
今回ご紹介したツァイガルニク効果や「続きが気になる心理」は、営業・プレゼン・教育など、さまざまな場面で役立つものですので、ぜひ、活用してみていただきたいと思います。
【管理人のオススメ】
カリスマ講師 THE バイブル
「つかみの手法」が盛りだくさんの本です。
ネタではなく手法を手に入れられるので、
人を惹きつける話をしたい方は、ぜひご一読を!