現在、絵本となって普及している「三匹の子ぶた」は、次のようなお話になっています。まず、長男のわらの家が吹き飛ばされ、次に、次男の木の家が吹き飛ばされます。こうして家を失った兄弟が三男のレンガの家にあつまり、オオカミを追い払います。
ところでみなさんは、この三匹の子ぶたの原作の内容をご存知でしょうか。まず、家を吹き飛ばされた子ぶたは食べられてしまいます。つまり、長男と次男は食べられてしまうわけですね。そして最後にレンガの家を作った三男は、オオカミの追い払うのではなく、煮て食べてしまいます。
とても残酷なように見えますが、もちろんきちんとした意図があります。この作品が書かれた中世ヨーロッパでは、オオカミは「犯罪者の象徴」と言われています。つまり、この物語には「悪いことをしたらこうなる」という教訓があるわけですね。また、脳科学的に言えば、怖いものや恐怖という感情は、記憶に残りやすいと言われています。
実際に営業などでも、「こうした損害を出さないためにも、商品を買いましょう」といった形で、恐怖感を利用したアプローチが存在します。絵本については、世の中の仕組みや倫理を教える意図で使用するなら、あえて原作や、それに近いものを活用するのも1つの選択肢なのかもしれませんね。